「選美槽」商標登録から20年以上続く、石貼り文化の発信
2002年に商標登録した「選美槽(えらびそう)」は、WABUROのデザイン浴槽の象徴的な存在として、2025年にセミオーダータイプが加わる形で今も更新されている。石貼り浴槽という製品カテゴリー自体がWABUROによって定義されてきた側面があり、「石貼りならWABURO」という業界内の認識は、20年以上の実績から生まれた。静岡・伊東の自社工場では浴槽の製造から品質検査まで一貫して行い、2004年取得のISO9001認証が体系的な品質管理を保証している。
「セミオーダーが追加されたことで、建売住宅への提案がしやすくなった」という設計士の声がある。フルオーダーとセミオーダーの二段階を用意したことで、予算と要望の幅を超えて石貼り浴槽を提案できる案件が増えたようだ。
南麻布に宿る、日本文化としての入浴体験
WABURO TOKYO SHOWROOMが位置する南麻布は、外交公館・高級住宅・感度の高い商業施設が共存するエリアだ。2025年12月にリニューアルしたショールームは完全予約制で、来場者一組ずつに向き合うスタイルを維持している。「Retreat(非日常)」というブランドの3軸のひとつを、来場体験そのものとして演出する場として機能している。
「予約して行くと、スタッフが製品だけでなく素材の背景まで丁寧に説明してくれた」という声が目立つ。天然石の産地や選定基準、天然檜の特性といった「素材の文脈」まで話が広がる対話は、量販店型の販売では生まれない。ショールームが単なる展示場でなく、ブランドの思想を体験する場として設計されていることが伝わってくる。
防衛省登録・ISO認証・特許取得が示す、技術管理の層
1999年に防衛省横須賀地方総監部の入札指名業者に登録されたことは、民生品メーカーとしては異例の品質審査クリアを意味する。2004年のISO9001認証、2024年の特許取得(特許第7586476号)と、技術・品質管理の資格取得は一貫して積み重なっている。2024年の第20回ステンレス協会賞優秀賞は、金属加工・素材の専門領域での評価として、デザイン賞とは異なる角度からの認証だ。
受賞・認証歴が複数の異なる評価軸にわたっていることは、特定の側面だけが突出しているのではなく、製品の全体品質が安定していることの証拠として読める。「使い込んでも石の接着が剥がれないのは品質管理の賜物だ」という現場の施工業者の言葉が、その評価を裏付けている。
海外素材と国内技術が融合する、CAMBRIAとの協業軸
2016年にCAMBRIA社(米国)と締結した日本総代理店契約は、アステック独自の事業軸として存在感を持っている。米国製クォーツストーンを国内建築・インテリア市場に紹介するこの事業は、WABUROの石貼り浴槽事業と素材への視点を共有しながら、異なる市場層にアクセスする。グループ会社のアステックインターナショナルが担う海外取引部門と、CAMBRIAの国内代理店事業は、国際的な素材流通の両方向に関わる構造だ。
資本金5,000万円(2025年増資)、複数の都市銀行・信用金庫・政策金融公庫との取引関係と、財務面の安定も事業拡大の基盤として整備されている。単一ブランドへの依存を避けながら複数事業を並走させる経営スタイルは、1988年の創業から現在まで続く企業体制の特徴だ。


