職人の道具選びを変える移動販売という発想
工具は写真やスペック表だけで選べるものではない。重量バランス、グリップの感触、回したときのトルク感——そうした身体的な確認を求める現場の声に応える形で、BLUE COLOURは車両を使った移動販売を展開している。イベントや現場近くに出向き、実際に製品を手に取ってもらう機会をつくることで、オンラインだけでは伝わりにくい工具の個性を体感してもらう仕組みを築いた。出店スケジュールはブログで随時告知されており、新製品の入荷情報もあわせて確認できる。
個人的には、この「売り方そのもの」に思想が宿っている点が印象的だった。画面越しに購入ボタンを押す時代に、あえて対面で道具を吟味する場を設けるのは手間がかかる。それでも「触って選んでほしい」という姿勢は、工具への愛着を育てたいというBLUE COLOURの考え方と地続きになっている。オンライン販売も並行して行われているため、遠方の利用者にも間口は開かれた状態だ。
Wera製品を軸にした専門工具のラインナップ
取扱ブランドの中核を担うのがドイツのWera(ヴェラ)で、ドライバーやビットソケットなど、締結工具を中心に専門性の高い製品群が並ぶ。「締めるということは緩めることも出来る」——この言葉が示すように、正逆どちらの動作でも力の伝達効率を意識した設計思想を持つ工具が選定されている。分電盤作業向けの絶縁ドライバー(VDE規格)など、電気工事の現場で求められるアイテムも揃えており、用途に応じた提案が受けられる。使用頻度の高い工具をまとめた専用ケース付きセットも用意されている。
収納ケースは単なる箱ではなく、工具ごとの定位置が決まった機能的な設計で、現場での出し入れがスムーズになるよう考えられている。道具の紛失防止にもつながるため、複数人で共有する現場では重宝するという声が目立つ。ブログ上では各製品の詳しい解説記事も公開されており、VDE工具の選び方など踏み込んだ情報が掲載されている点は、初めて専門工具を検討する層にとって参考になるはずだ。
電気工事事業との二軸で現場を知る販売体制
BLUE COLOURの運営母体はWIREDLINE合同会社で、代表の猪狩憲一氏が統括している。工具販売と並行して電気工事業を手がけており、LEDビジョンの設置やネットワーク構築といった専門工事の実務経験が、そのまま商品選定の目利きに反映されている。実際に工事現場で使う側の視点を持つ販売者は多くなく、この二軸の事業構造がBLUE COLOURの立ち位置を独特なものにしている。
たとえば高所でのLEDビジョン取り付け作業では、片手で操作できるドライバーの回しやすさや、腰袋に収まるサイズ感が作業効率を左右する。そうした現場レベルの感覚が品揃えに反映されていると感じる利用者も多い。工事部門で培った安全管理の知見が、推奨工具の提案にも色濃く出ており、単なる物販に留まらない情報提供が行われている。
職人文化を次の世代へつなぐという事業の根幹
「仕事にこだわりを持つ職人さんは使用する工具にもこだわる」——BLUE COLOURが掲げるこの考え方は、売上目標の話ではなく、業界全体の空気を変えたいという意志に根差している。良い道具を届けることで職人の仕事ぶりが向上し、その姿が若い世代の目に魅力的に映る。そんな好循環を生み出すことが事業の出発点に置かれている。
建設業界では担い手不足が叫ばれる中、現場で働く人が誇りを持てる環境づくりは急務だろう。BLUE COLOURは工具販売という切り口から、職人本人だけでなくその家族まで含めた関係者全体が前向きになれる状態を目指すと明言している。派手な施策ではないものの、一本のドライバーから業界の未来を考えるという姿勢には、地に足のついた覚悟のようなものが感じられる。


