1953年創業、長野市に根を下ろす総合建設企業
長野県長野市青木島に本社を構え、70年以上にわたって建築・土木の両分野で事業を展開してきた。松代建設工業株式会社は公共施設や道路・河川といったインフラ整備から、宿泊施設・医療施設・商業施設まで、規模も用途も異なる現場を数多く手がけている。自社ブランドの注文住宅「Mstyle house」や美容室などの小規模店舗設計にも対応しており、住宅と非住宅の垣根なく受注できる体制が整っている。経年変化を活かすリノベーション事業や、土地活用・不動産取引のコンサルティングまで守備範囲に含めている点も見逃せない。
個人的には、住宅ブランドと公共土木工事を同じ会社が並行して手がけている幅の広さが印象的だった。店舗併設住居の設計なども請け負っており、住まいと商いを一体で考えたい施主にとっては相談先を一本化できる利点がある。オフィスの内装工事から河川の護岸工事まで現場の種類がまったく違うため、在籍するスタッフは否応なく多様な技術を身につけることになる。こうした現場経験の厚みが、次の案件での提案力にそのまま反映されている。
経験ゼロからでも歩ける育成の道筋
建設業界では即戦力を求める会社が少なくないなか、松代建設工業株式会社はベテラン社員によるマンツーマンに近い指導体制を敷いている。基礎知識から実務レベルの応用まで段階を踏んで学べるカリキュラムが用意されており、先輩との距離感も近い。中途入社の比率が高く、性別や学歴を採用条件としていないため、異業種からの転職者も珍しくない。子育て中のスタッフが現場で活躍しているという話は、受け入れ体制の実態をよく表している。
「未経験だったが、周囲のフォローが手厚くて助かった」という声が目立つ。代表の湯本宜成氏自身がスタッフとの対話を重視しており、経営層との心理的な壁が薄い職場風土が根づいている。疑問を抱えたまま現場に出るリスクが減るため、結果として施工品質の安定にもつながっている。教育コストを惜しまない方針は、長い目で見たとき組織の底上げに直結する判断だろう。
働き方の自由度と評価制度
週休二日制を導入し、残業時間の圧縮にも取り組んでいる。直行直帰や在宅勤務といった選択肢が用意されているため、通勤時間や家庭の事情に合わせて一日の動き方を調整しやすい。服装・髪型・ネイル・ピアスが自由という点は建設業界では珍しく、個人のスタイルを尊重する社風がにじむ。
賞与は最大で年3回支給される制度が設けられており、成果を待遇に反映させる仕組みが明確に存在する。「頑張った分がきちんと返ってくる実感がある」と感じるスタッフもいるようで、モチベーション維持の装置として機能している。建設業の働き方改革が叫ばれるなか、制度面での整備をすでに進めている企業は意外と限られる。
地域のインフラを支え続ける経営の軸足
松代建設工業株式会社の経営は、地域への還元を起点に組み立てられている。長野市周辺の公共工事を継続的に受注してきた背景には、1953年の創業から途切れることなく積み上げてきた施工実績がある。道路や河川の整備は住民の暮らしに直結する仕事であり、品質に対する要求水準も当然高い。その水準を長期にわたって満たしてきた事実が、行政からの信頼につながっている。
湯本宜成氏が代表を務める現体制では、技術継承と福利厚生の充実を経営の両輪に据えている。社員が安定した環境で力を出せるよう制度を整え、そこで育った人材が地域の建築・土木を担う——この循環を途切れさせない意思が、採用方針や教育体制の随所に見て取れる。拠点である青木島から半径数十キロの範囲に、同社が手がけた建物やインフラが点在している事実は、数字以上に雄弁な実績といえる。


