ベテランの技を間近で見ながら育つ、現場教育の現実
株式会社杉野技巧の現場では、50代から70代のベテラン職人が取付施工の中心を担いながら、若手へ技術を手渡している。入社後は社会人マナーや安全確認の基礎から始まり、アルミパネルの外壁取付や鋼製建具の施工へと段階的に守備範囲が広がっていく。未経験から4年で現場リーダーになったスタッフがおり、資格取得にかかる費用は申込から学費まで全額会社が負担する制度が整っている。インドネシアから新たなメンバーを受け入れるなど、近年はチームの多様性も広がってきた。
「先輩がつきっきりで教えてくれた」という感想が若手から出ており、孤独に技術を習得する環境とは正反対の現場文化がある。建設業未経験での入社者も多く、業界の入口として機能している。
「麻布台ヒルズ」に刻まれた施工実績と、1986年からの歴史
都内で話題になった大型施設の裏側に、株式会社杉野技巧の取付施工がある。「麻布台ヒルズ」や「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」への参画実績を持ち、1986年の創業から積み上げてきた大型施設での経験とノウハウが、現在の施工品質の土台になっている。オフィスビル・商業施設・公共施設での施工が中心で、アルミ・ステンレス・スチールパネルの外壁取付から、ルーバー・手摺・建具・チャンバーボックスまで対応する。現場は東京都23区が約8割で、残りは埼玉・神奈川・千葉が対象エリアとなっている。
施工精度の根幹にあるのは、図面の寸法確認と水平・垂直ラインの徹底管理だ。この現場文化が40年近くかけて積み重なり、大型プロジェクトへの参画につながっている。
休工保障から退職金まで——収入を守る制度の多層構造
悪天候で現場が止まる日の収入は休工保障制度でカバーされ、社会保険4種に退職金制度・法人医療保険まで揃える。未経験スタートの月給は28.7万円〜30万円以上で、8月・12月の年2回賞与も支給される。賞与の社内平均は2021年度の約19.8万円から2023年度には約43.1万円へと伸びており、在籍年数に応じた還元が数字に表れている。小規模施工会社では未加入のケースもある社会保険を完備している点も、業界内での差別化になっている。
処遇の手厚さと安定した経営基盤の組み合わせが、長期的に働くスタッフを生み出している。「収入に関して不満を感じたことがない」という声が複数のスタッフから出ているようだ。
月残業0.6時間の裏側にある、スタッフ同士の協力文化
月平均残業時間0.6時間、有給取得率90%——数字の裏にあるのは、スタッフが互いの休みを調整し合う現場文化だ。事務も職人も区別なく有給を取りやすい空気があり、休むことへの遠慮が生まれにくい職場環境が整っている。年に1度の社長面談で現場の声を経営トップへ届ける仕組みがあり、「言っても変わらない」という閉塞感とは距離がある。「やる時はやるし、休む時は休む」という言葉が、株式会社杉野技巧の社風を端的に表している。
職人は各現場へ直行直帰で動くため、さいたま市の拠点へ毎日出社する必要はない。施工管理と事務は拠点ベースで、職人は現場ベースという役割に応じた働き方が設計されている。


